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「何者だか知らないが、キース様の元に行かせる訳にはいかん」
ケーニスは、鉤爪を装備した手で、キースに向かってきた。
キースはケーニスをあっさり捕まえると、壁に向かって投げ飛ばす。
「うぐっ!!」
ケーニスはすぐに体勢を立て直し、再びキースに向かってきた。
「やっぱり力加減が難しい。
お前の身体には世話になったけど、悪く思うなよ」
キースは素手でケーニスの心臓を貫いた。
「ガハッ…」
キースはケーニスの首を掴んで腕から引き抜き、その場に落とす。
指に着いたケーニスの肉と血を舐めたキースが異変に気付くのと、ケーニスが立ち上がったのは、同時だった。
「お前、更に合成されたのか…!」
ケーニスは、キースが知っていた存在ではなくなっていた。
人間の部分は少なく、魔物の部分の割合がかなり多い。
今、血肉を口にした事によって、わかった。
キースが使用したあの頃の身体は、まだ人間と言える身体だったはずだ。
「再生能力か!!」
キースが付けた、ケーニスの胸の傷が、みるみる塞がっていく。
次いで、グジュル、と嫌な音がして、ケーニスの下半身が脱皮のように剥け、ムカデのように節のある足が何本も付いた長い腹が現れた。
キースよりも大きくなったケーニスが、ヌメヌメとした粘液が付着している茶色い腹を見せて、目の前に立ち塞がる。
「化け物め!!」
キースはケーニスに向かって走った。
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