逆襲

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「なぜ案内する気になった?」 キースは辺りを注意深く警戒しながら聞く。 「あなたの強さはわかりましたから…これ以上官邸内を壊されても困ります」 「オレが壊した訳じゃない」 「間接的には壊しましたよね?」 ガジェスの言った事に対してキースが反論すると、すぐに言い返された。 「見ていたのか」 キースは確信を持って聞く。 「ええ、キース様もご覧になっていらっしゃいました」 ガジェスは、にこやかに言う。 この男、先程から笑顔を貼り付けたままで、何を考えているのかわからない。 気持ち悪い、とキースは思った。 豪華な扉の前に到着すると、ガジェスは立ち止まる。 「この部屋です。 どうぞ」 ガジェスは礼をとり、一歩下がった。 「…」 キースは無言でドアノブに手を掛け、扉を開く。 そこは、中央に執務机と応接セットのある広い部屋で、机の上の灯りだけが室内をほのかに照らしていた。 よく見ると、執務机の向こう側の椅子に誰かが座っている。 「…魔王」 キースはつぶやいた。 「ここまで乗り込んでくるとは、私も予想していなかった」 椅子に座っていた人物は立ち上がり、キースに近寄ってくる。 ほのかな灯りに、今はイルデア共和国元首であり、キースの本来の身体である、薄茶の髪と瞳を持つ整った顔が浮かび上がった。
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