逆襲

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「まあ、かけたまえ」 魔王はキースに、ソファーへ座るように促した。 「その必要はない」 キースは、立ったまま魔王を鋭い視線で睨みつける。 「ふむ、ここでは狭いかな? 移動しよう。 ついてくるがいい」 魔王は、部屋の端にある小さな扉を開けると現れた、下に降りる階段を下っていく。 キースはその後に続いて階段を降りていった。 長い階段で、2階分以上は下っているようだ。 階段の先にある小さな扉をくぐると、天井が高く、壁だけに囲まれた広い部屋に到着した。 ここは、〈ヨルムの守護者〉がいた部屋だ! キースは部屋に入ってすぐに気付く。 この部屋は、確か、どういう仕組みなのか〈ヨルムの守護者〉が暴れても傷が付かない部屋だった。 部屋の中央に来た2人は、向かい合う。 「ここならばいいだろう。 用件を聞こう」 魔王は、キースの全身を見ながら言った。 「その身体は、魔成生物だな? アルダ城にいる魔族が造ったものか。 どうやって意識を移したのかはわからないが…フン、醜いな」 「貴様の造った魔成生物も十分悪趣味だろう。 これは貴様と〈ヨルムの守護者〉を倒すために造られた身体だ」 キースは、腰の剣に手を掛ける。 「ほう、私を倒すと? この身体は貴公の身体だ。 取り戻さなくて良いのか?」 魔王は余裕の表情で腕を組んだ。 「どうせ、もう戻れないだろ」 キースは苦々しく言い放った。
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