793人が本棚に入れています
本棚に追加
「この身体は貴公と別れてから100年以上経っているのにもかかわらず、別れた頃と同じままだ。
なぜこの若さを保っていられるのか、不思議ではないのかね?」
「…」
確かに、キースは不思議に思っていた。
キースの身体は人間だ。
普通に考えて、生きていられる訳がない。
魔王が何か細工をしているのは間違いないのだが…
「!!!」
キースは、今は魔王である自分の身体を改めて眺めていて、気付いてしまった。
「魔成生物にしたな!!」
自分の身体である、という先入観が働いて気付かなかったが、魔王が宿ったキースの身体は魔成生物に改造されていた。
「よくも勝手にいじくりまわして…!!」
キースは、悲しさと悔しさと憤りが湧き上がってくる。
「逆に感謝してもらいたい。
人間の身体のままでは無理だが、魔成生物になった事で、貴公はこの身体に戻れるかも知れないのだぞ?」
魔王は腕を組んだまま言う。
「…」
「取引をしよう。
私が今回の目的を達成したら、この身体は貴公に返そう。
どうだ?」
「……」
「貴公にはこの身体を返した後、再びトレジャーハンターとして活動できるよう、イルデアに住まいと金を用意しよう。
この身体はきちんと管理すれば寿命で死ぬ事はない。
魔法も使えるし、貴公にとっては、利点もあると思うが?」
最初のコメントを投稿しよう!