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「だからといって許される行為ではないだろう!
関係ない市民の、たくさんの犠牲者が出たんだぞ!!」
「誰に許しが必要なのだ?
言ったであろう?必要悪だと。
元々魔法が使えなかった人間に魔法など必要ないのだ。
我が国がそれを実証している」
それに、と魔王は続ける。
「アルダ王国こそ、人間の過ちの象徴だ。
強固に魔法を手放そうとしない。
あの国は大地の魔力が集まる場所を選んで建国されたから、まだ良いと思っているかも知れないが、あの場所の大地の魔力が枯渇したら、周辺の国まで巻き込んで一気に砂漠化する。
そんな事もわからないのに大地の魔力を取り出して湯水のように使う、あの国の人間こそが諸悪の根元なのだ」
魔王は忌々しい様子で言った。
「それで〈ヨルムの守護者〉をアルダ王国に向かわせているのか!!」
「そうだ。
あの国にある魔法の施設は全て破壊する必要がある。
魔法士などという連中も皆殺しにしなければ、手遅れになってしまうからな」
「…!!」
キースは複雑な思いだった。
確かに魔王の言っている事もわかるのだ。
今のキースには、自分が魔力の塊という存在になったせいなのか、魔力の流れを理解する事が出来る。
アルダ王国では、魔法を動力源とした施設がたくさん残っていて、大地の魔力が各場所に流れ込んでいるのがわかる。
極魔血晶や魔血晶が媒体に使われている場所も一部あるが、基本的には同じだ。
それらの施設によって大地の魔力が少しずつ減っているのも感じるのだ。
ある程度したら自然に増える分もあるから、すぐに枯渇する訳ではないが、このまま使い続けては、枯渇する日が来るのは間違いない。
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