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キースは魔王が剣を空中から出した事、剣を受け止めた事の両方に少なからず驚き、目を見張った。
キースの反応に気付いたのか、魔王はニヤリと笑う。
「私が剣を使う事に驚いたか。
剣は転移魔法で呼び寄せた。
この結界は私が作ったもの。
結界内で私だけは魔法が使えるのだ。
剣の使い方は、この身体がよく知っているのでな…自分自身で確かめるがいい」
魔王はキースを剣ごと押し返し、横に斬り払う。
キースは素早く後ろに飛び退いて剣筋から逃れたが、魔王はすぐに追撃してくる。
上下左右に攻撃してくる魔王の剣を受け止めながら、キースは動揺していた。
魔王の身体は魔成生物にされているだけあってか、この身体のキースを押し返すだけの力がある。
剣捌きは、キースと全く同じ。
キースの身体に染み付いた戦い方を、魔王は再現しているのだ。
キースは本当の意味で自分自身を相手に戦っている事になる。
厳しい戦いになりそうだ。
キースは気を引き締める。
「ふむ、剣で戦うのは初めてだが、貴公の身体は自然に反応するようだぞ。
素晴らしい才能を持っていたのだな」
「貴様に利用されたくなどない!!」
キースは身体のバネを生かし、速さと勢いをつけて魔王に向かった。
そのままの勢いで、利き腕を狙って斬りつける。
魔王は少しだけ反応が遅れたため、わずかに避けきれずにキースの剣が腕に当たった。
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