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「私の望みを叶えるように、だ。
この大陸の魔法の痕跡を、例外なく全て消し去れ、とな。
特にアルダ王国は念入りに潰すように命令を出した…楽しみであろう?」
キースは一瞬で魔王との距離を詰め、残った腕も切り飛ばした。
「ぐうっ…!」
魔王は耐えきれなくなったように、膝をつく。
「早く〈ヨルムの守護者〉に命令を出せ!!」
キースは声を荒げて言った。
「くっ…キースよ…
こんな所でのんびりしていて良いのか?」
「どういう意味だ」
魔王の言い方に、キースは苛立つ。
「私は貴公が我が国へ来た時に、〈ヨルムの守護者〉をアルダ王城の上空に転移させた。
この意味がわかるかね?」
「何だと…!?」
〈ヨルムの守護者〉の現在地は、まだアルダ王国までは数日かかる場所にいたはずだ。
それを転移させたというのか!?
ファリア達が危ない!!
「貴様!!」
「ふふふ、もう遅い。
今頃アルダ王国は壊滅状態だろうよ」
キースは剣を一閃させる。
魔王の首が、ゴトリ、と床に転がり、首のない胴体は尻餅をついてから仰向けに倒れた。
キースは転がった首の元に近付き、足で自分の方に向かせる。
「〈ヨルムの守護者〉は絶対に止めてみせる」
「やってみるがいい。
貴公がどうあがこうと、私の最高傑作は止められぬだろう」
首だけになった魔王は、口から血を吐き出してから、ニヤリと笑った。
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