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「ダメぇっ!!」
突然声がして、キースと魔王の間に女が割り込んだ。
女は魔王の首を胸に抱きしめる。
「キース様は殺させないわ!!」
そう言って、魔王の首を胸に抱えたまま後ずさるのは、側近のローザだった。
ローザはキースを睨み付けながら言う。
「キース様の前に、わたくしが相手をします!!」
キースはローザの視線を受け止めて睨み返した。
「あんたとでは勝負にならない。
あんたには世話になったから殺したくはないが、邪魔をするならば容赦はしない」
キースは一刻も早く魔王にとどめをさして、アルダ王国に戻りたかった。
「その首を離して、どけ」
キースは凄みを効かせながら言うと、ローザは震え上がる。
そして、下を向いて胸元の魔王を見て一瞬止まる。
「…わかったわ」
ローザは魔王の首を床にそっと置いた。
その場から立ち去ろうと、ローザはキースの横を通って出入口に向かう。
ローザとすれ違い、ローザが後ろを向いた瞬間に、キースはローザの首を切り落とした。
床に落ちたローザの首が、驚愕の表情でキースを見る。
「なぜ!?」
「残念だったな。
魔王」
キースは剣に付いた血を振り払いながら言った。
「部下の身体を乗っ取って逃れようとするとは…相手がオレじゃなかったら成功したかもな」
「くっ…!!」
ローザの顔と声で、魔王が呻く。
キースには、魔王がローザの身体に移動する様子がわかってしまったのだ。
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