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キースのものであった魔王の首には、遠隔操作が出来るように、少しだけ魔力を残してあった。
お陰でローザも殺さなければならなくなった。
気分が悪い。
キースは怒りに震える。
「貴様のせいで、オレの人生は狂わされた…
でも、そのせいで得るものがあった事も認めなくてはならないけどな。
じゃあな」
「待て!!」
魔王の言葉を無視して、キースはローザの額に剣を突き立てた。
そのまま魔法を使って、ローザの首を切り刻む。
キースの前には、原形のないローザの首だったもの、ローザの首のない身体、かつてキース本人だった首と胴体が離れた身体が転がっていた。
魔王の気配は、既にない。
キースは床に置かれている、自分の頭だったものを見つめる。
「消えろ」
キースはつぶやくと、魔王の宿っていた首と胴体に向けて炎の魔法を放つ。
炎は大きく燃え上がり、キースはただその様子を見つめた。
そして、ローザの身体と頭の残骸にも、炎を放った。
キースであり、魔王になっていた身体と、ローザは、高温の炎であっという間に燃え尽きてしまった。
炎が完全に消えて、跡形もなくなった、身体のあった場所を見つめて、キースは拳を握りしめる。
感傷は、後だ。
今は一刻も早くアルダ王国へ!!
キースは無理やり感情を押し込めて、転移魔法を発動し、その場から消えた。
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