決戦

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キースは城壁の外へ出た。 魔物は城までは到達していないようだ。 城の兵士や使用人達が、街の住民の避難を誘導していて、人で溢れている。 その中をキースはドルナスの思念を追って走る。 人間の中では、頭ひとつ分高く目立つドルナスは、すぐに見つかった。 ファリアは兵士達に次々と指示をしている。 「ドルナス!」 「キース!!来たか!!」 キースの姿を見て、ドルナスは嬉しそうな顔をする。 ドルナスの声で、ファリアも気付いてキースを見た。 「キース!!よく無事で…!!」 「ファリア、待たせたな」 キースはドルナスとファリアの側に来た。 ファリアは抱きつきたい衝動にかられたが、皆の前のため、ぐっと我慢する。 「魔王はどうなった!?」 ドルナスはキースに尋ねる。 「やったよ。 でも〈ヨルムの守護者〉は止められなかった。 すまない」 キースは俯いた。 「そうか!!さすがだな。 〈ヨルムの守護者〉は想定内だから、気にするな。 だが、予想よりもかなり早かったせいで、少し対応が遅れてしまった」 ドルナスは悔しそうに言う。 「魔王の、キースの身体はどうした?」 ファリアは少しだけ伺うように聞く。 「焼き尽くした」 短く答えるキースの感情は、そこからだけでは推し量れない。 「そうか…」 ファリアは何も言えずに黙る。
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