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「魔王は〈ヨルムの守護者〉をアルダ王城の上空へ転移させたと言っていた。
予想よりも早く来たのはそのせいだ」
キースはドルナスに向かって言った。
「そうか、〈ヨルムの守護者〉のように大きいものを転移させる魔力があったとは…
少し魔王を侮っていたな」
「キース!!お戻りでしたか!!」
少し離れた所から声がして、ラシルが3人の元へ駆け寄って来る。
手には大きな袋を持っていた。
「キース!!やったのですね!!
ドルナス、取ってきました」
ラシルはドルナスに持っていた袋を手渡した。
ドルナスは袋を受け取り、中身を確認する。
「間違いない。
助かったぞ、ラシル。
これがなくては、〈ヨルムの守護者〉への作戦が駄目になるところだった」
ドルナスは袋をキースに渡した。
「何だ?」
キースが受け取った袋の中を見ると、半透明の紫色をした、ペーパーナイフのような細長い刃物が何本も入っている。
「これは?」
「これはキースをその身体に呼び込んだ時にも使った、“同調”という魔法を使うために私が開発した道具だ。
私は“同調”を応用して〈ヨルムの守護者〉の動きと再生能力を制御するから、その隙にキースに倒してもらおうと思っている。
今〈ヨルムの守護者〉にはそれが首に一本刺さっているのだが、“同調”の成功率と制御率を上げるために、身体中の関節部に出来るだけたくさん刺して欲しい。
そういえば、キースの胸にも一本刺さったままになっているが」
ドルナスは説明した。
「“同調”には、大量の魔力と集中力が必要だから、私は動けないのだ。
キース1人で〈ヨルムの守護者〉にそれを刺す作業をして欲しい。
やれるか?」
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