794人が本棚に入れています
本棚に追加
/539ページ
「ファリア様、街の住民の避難はほぼ終わりましたので、本格的な魔物掃討作戦に移りますが…ファリア様?」
「…あ、ああ、わかった」
話し掛けてきた兵士長のサムによって、ファリアは現実に引き戻される。
「魔法士達を城にいる化け物から引かせて、魔物の掃討を手伝うように言え。
それで一気に街から魔物を追い出すぞ」
「わかりました」
サムは近くにいる兵士に指示を出すと、兵士は走り去った。
「私も行く」
ファリアが告げると、サムは慌てて手を振る。
「ファリア様の手は煩わせませんよ!」
「キースとドルナスが化け物に向かった。
この城壁の側にいるのはむしろ危険、街にいた方が安全だろう。
ここにいる全員を、城から出来るだけ離れた安全な場所へ退避させろ」
サムはファリアの話を聞くと、納得したように頷く。
「なるほど、わかりました。
では、ファリア様、行きましょう。
全員街外れまで退避だ!!
急げよ!!」
サムは大声で周囲に言い渡す。
周りにいた兵士達は、慌てて移動する準備をし始めた。
「俺はファリア様の側にいますよ」
どこからともなくサイラムが近寄ってきて、言った。
「もちろんだ。
私を守ってくれ」
「望むところです」
キースを戦わせている私には、見届ける義務がある。
戻ってくるキースを迎えるまで、私は絶対に死ぬ訳にはいかない。
ファリアは固い決意を胸に、街へ向かって歩き出した。
最初のコメントを投稿しよう!