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急ぎ足で歩くドルナスに、キースはついていく。
その先では、魔法士達が集団で〈ヨルムの守護者〉へ魔法攻撃を仕掛けている。
ドルナスはその集団の中へ向かって行った。
「魔法士長はいるか?」
ドルナスは手前にいる魔法士に話し掛けた。
「はっ!?ど、ドルナス殿!?
魔法士長はあちらに…」
魔法士達は、突然現れた魔族と黒ずくめの大きな二人に驚いて、不躾な視線を投げ掛けている。
「わかった」
ドルナスは、魔法士長に向かって集団の中を進む。
「ドルナス殿!」
魔法士長が先に気付いて、ドルナスに声を掛けた。
魔法士長は白髪の老人の男性で、1人椅子に座っている。
魔法士達は、全員ゆったりとしたローブを身に纏っていたが、魔法士長はその中でも豪華な刺繍で縁取りされている高級感のあるローブを身に付けており、目立っていた。
ドルナスは魔法士長の前に立ち、キースも斜め後ろに続いた。
「どうされましたか?ドルナス殿」
魔法士長が話す。
「今魔法攻撃をしているあいつは、私達に任せてもらいたい。
危険だから、手を引いてくれ」
「えっ?」
魔法士長は驚いて椅子から立ち上がった。
「いくら魔族のドルナス殿といえども、あのような化け物に貴方達だけで立ち向かうのは無謀ですぞ!」
「いや、私達だけで十分だ。
それにここを退いてもらわないと、思い切りやれないからな。
キース、そうだろう?」
ドルナスは、キースの方に振り向いて言った。
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