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キースは魔法士というものはラシルしか見たことがなく、こんなに大勢の魔法士達が魔法を放っている様子も初めてで興味深かったので、辺りをキョロキョロと見回していたが、突然話を振られて慌てる。
「え?あ?うん?」
「ですが…」
「…悪い、何の話?」
「…」
「ここを退いてもらうように言っていた。
魔法士達を巻き添えにしたくはないだろう?
緊張感がないのはいいのだが…」
ドルナスは呆れて答えた。
「あのように私達の最高の攻撃魔法でも効かないような化け物を、貴方達が何とか出来るとでも!?」
魔法士長は、顔を紅潮させて言う。
「出来る、のではなく、何とかしないとダメだろう?
ドルナスは、あんた達よりはオレの方がマシだから言っているんだろう。
それに、効かないような攻撃魔法を打ち続けるなんて、魔力の無駄使いだ。
早く止めさせた方がいい」
キースの言い方に、魔法士長は更に顔を紅潮させる。
「私達にも王国の魔法士というプライドがあります!
攻撃魔法を続けていれば、そのうち効いてくるかも知れない!」
ドルナスとキースは同時に顔を見合わせた。
「なあ、魔法士の知識って、こんなものなのか?」
「そうらしいな…」
ドルナスはため息をついてから告げる。
「魔法に、そのうち効く、というものは存在しない。
そのように設定して魔法を掛けたのならば、話は別だが。
魔法は基本的に効くか効かないか、どちらかだ」
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