決戦

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「わかった。 すぐに向かうとお伝えせよ」 「はっ!」 兵士は来た時と同じように走り去った。 「さすがファリアだ。 よくわかっている」 今の様子を見ていたドルナスがニヤリと笑うと、魔法士長はドルナスを無視して指示を出した。 「皆、今から街の魔物掃討作戦に参加する。 全員街へ向かうのだ」 「はい!!」 魔法士達は、ぞろぞろと移動を始めた。 魔法士長は考える。 あの化け物が燃え上がったのは、魔法によるものだった。 それも、とんでもなく威力のある魔法。 到底人間には使いこなせないような魔力を感じた。 キースと呼ばれていたあの者は、人間なのだろうか? ひとつ言えるのは、あの者ならば、あの化け物を本当に何とか出来るのかも知れない、という事だった。 魔法士長は、ドルナスを見てひとこと言う。 「…頼みましたぞ」 「任せておけ」 ドルナスが頷くと、魔法士長はくるりと背中を向けてその場を去っていった。 ドルナスは魔法士達が全員この場から離れるのを見届けてから、キースの方へ向かう。 瓦礫が舞う中、ドルナスは〈ヨルムの守護者〉の全体が見える場所を選び、立つ。 『キース、魔法士達は全員去った。 もっと思い切りやってもいいぞ。 遠慮していただろう』 ドルナスはキースに向かって思念を飛ばす。 『そうか、助かった! じゃあ遠慮なく、と言いたい所だけど、城を壊さないようにするのは難しいと思うよ? ドルナスはあまり壊したくないんだろう?』
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