794人が本棚に入れています
本棚に追加
/539ページ
キースから思念の返事があった。
『いや、私の研究室さえ無事ならばいい。
研究室は地下にあるから、上は多少壊れても私は気にしない』
『そういう事か…』
キースはドルナスが、城を壊されたくない、と急いでいた理由を知り、苦笑する。
どちらにせよ、城は既に半壊状態だから、直すためには全部壊す必要があるだろう。
「さて、と…」
キースは改めて〈ヨルムの守護者〉と向かい合う。
「なあ、眠りたくないか?
オレならばお前を眠らせてやることが出来る。
もう終わりにしよう、な?」
キースは〈ヨルムの守護者〉に話し掛けるが、咆哮をあげるばかりだ。
「洗脳状態が強いのか…
実力行使しかないな」
キースは崩れた城を駆け上がり、〈ヨルムの守護者〉の懐に潜り込む。
そのまま一番前にある鳥のような脚の付け根に“同調”の道具であるペーパーナイフを突き刺した。
すぐに触手がキースを襲うが、剣で数本の触手をまとめて斬り払う。
触手はすぐに再生して、再びキースを襲う。
「この再生能力、本当に面倒だ!」
キースは氷の魔法を使って、触手を凍らせた。
凍りついて動かなくなった触手の隙を見て、反対側の鳥の脚の付け根にもペーパーナイフを突き刺す。
その直後に太い尾が唸りをあげてキースに迫る。
最初のコメントを投稿しよう!