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「うわっ!!」
キースが慌てて避けると、尾は触手に当たり、凍っていた部分が砕け散った。
そのせいで、魔法で凍りついた部分が綺麗になくなってしまい、触手の再生が始まる。
キースが懐から出た時には、触手は完全に再生して、キースに向かって襲いかかる。
「何度でもやるさ!」
キースは再び魔法を放とうとするが、迫っていた尾が横腹に直撃してしまう。
「ぐっ!!」
キースは変な体勢で城の瓦礫の中に叩きつけられた。
その勢いで城が更に崩れていく。
〈ヨルムの守護者〉は翼を広げて飛び上がり、空中で翼を縮めると、そにまま倒れているキースに向かって落ちてくる。
どうやら押し潰そうとしているようだ。
「さすがに少し効いたな…」
キースはむくりと起き上がったが、鎧はあちこち割れて、服は破れて皮膚が露出し、所々に傷が出来ていたが、再生が始まっていた。
すぐに上から迫る影に気付く。
「何!?」
キースは瞬時に転移魔法を使って〈ヨルムの守護者〉の真上に移動した。
キースが消えた直後に〈ヨルムの守護者〉がキースのいた場所に落ちる。
その巨体の落ちる勢いと重量で、城はまた崩れていく。
「危なかった!」
キースは〈ヨルムの守護者〉の真上から背中に着地し、翼の根元にペーパーナイフを数本まとめて突き刺した。
それは〈ヨルムの守護者〉の硬い鱗をものともせずに、簡単に刺さる。
次の動作で、すぐに魔法を放ち、触手を凍結させた。
そして、真ん中の肉食獣の脚と後ろの竜の脚の付け根にも、走って回り込みながらペーパーナイフを刺した。
〈ヨルムの守護者〉はキースを踏み潰そうと脚を踏み鳴らすが、キースは走りながら避けていく。
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