決戦

12/34
794人が本棚に入れています
本棚に追加
/539ページ
「うわっ!!」 キースが慌てて避けると、尾は触手に当たり、凍っていた部分が砕け散った。 そのせいで、魔法で凍りついた部分が綺麗になくなってしまい、触手の再生が始まる。 キースが懐から出た時には、触手は完全に再生して、キースに向かって襲いかかる。 「何度でもやるさ!」 キースは再び魔法を放とうとするが、迫っていた尾が横腹に直撃してしまう。 「ぐっ!!」 キースは変な体勢で城の瓦礫の中に叩きつけられた。 その勢いで城が更に崩れていく。 〈ヨルムの守護者〉は翼を広げて飛び上がり、空中で翼を縮めると、そにまま倒れているキースに向かって落ちてくる。 どうやら押し潰そうとしているようだ。 「さすがに少し効いたな…」 キースはむくりと起き上がったが、鎧はあちこち割れて、服は破れて皮膚が露出し、所々に傷が出来ていたが、再生が始まっていた。 すぐに上から迫る影に気付く。 「何!?」 キースは瞬時に転移魔法を使って〈ヨルムの守護者〉の真上に移動した。 キースが消えた直後に〈ヨルムの守護者〉がキースのいた場所に落ちる。 その巨体の落ちる勢いと重量で、城はまた崩れていく。 「危なかった!」 キースは〈ヨルムの守護者〉の真上から背中に着地し、翼の根元にペーパーナイフを数本まとめて突き刺した。 それは〈ヨルムの守護者〉の硬い鱗をものともせずに、簡単に刺さる。 次の動作で、すぐに魔法を放ち、触手を凍結させた。 そして、真ん中の肉食獣の脚と後ろの竜の脚の付け根にも、走って回り込みながらペーパーナイフを刺した。 〈ヨルムの守護者〉はキースを踏み潰そうと脚を踏み鳴らすが、キースは走りながら避けていく。
/539ページ

最初のコメントを投稿しよう!