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〈ヨルムの守護者〉の首が、髪をなびかせて宙を舞う。
キースは〈ヨルムの守護者〉の首が地に落ちる前に、髪の毛を掴んで手元に引き寄せ、手のひらに魔力を集めて強力な炎を出現させた。
その炎で〈ヨルムの守護者〉の首を一気に焼く。
炎は一瞬で大きく燃え上がり、〈ヨルムの守護者〉の首は灰も残さず燃え尽きた。
首のない身体を見ると、ビクビクと痙攣しているが、傷も触手も再生途中のままだ。
『ドルナス!やったぞ!!』
キースはホッとしてドルナスに思念を送った。
『いや、まだだ!!
“同調”で動きと再生能力を抑えているにもかかわらず、首を潰しても身体の再生が止まっていない!
“同調”を解いたら元のように再生してしまう!!
今のうちに身体も全部消し去れ!!』
ドルナスは焦った様子で言う。
キースがよく見ると、確かに傷も触手も、首の切り落とした部分までじわじわと再生している。
ドルナスが“同調”で抑えていなければ、首でさえもすぐにでも再生してしまうのか!
「何て再生能力だ!!」
キースは剣を振るい〈ヨルムの守護者〉の身体を切り刻んでいく。
だが、その巨体を剣だけで細かくするのは容易ではない。
「やっぱり魔法だな」
キースは風の魔法を放った。
かまいたちのような風の刃が何十本も発生して〈ヨルムの守護者〉の身体に傷を付けていく。
「これで終わりだ!!」
キースは、首を焼き尽くしたのと同じ強力な炎を〈ヨルムの守護者〉の身体に向かって放った。
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