決戦

15/34
前へ
/539ページ
次へ
〈ヨルムの守護者〉の首が、髪をなびかせて宙を舞う。 キースは〈ヨルムの守護者〉の首が地に落ちる前に、髪の毛を掴んで手元に引き寄せ、手のひらに魔力を集めて強力な炎を出現させた。 その炎で〈ヨルムの守護者〉の首を一気に焼く。 炎は一瞬で大きく燃え上がり、〈ヨルムの守護者〉の首は灰も残さず燃え尽きた。 首のない身体を見ると、ビクビクと痙攣しているが、傷も触手も再生途中のままだ。 『ドルナス!やったぞ!!』 キースはホッとしてドルナスに思念を送った。 『いや、まだだ!! “同調”で動きと再生能力を抑えているにもかかわらず、首を潰しても身体の再生が止まっていない! “同調”を解いたら元のように再生してしまう!! 今のうちに身体も全部消し去れ!!』 ドルナスは焦った様子で言う。 キースがよく見ると、確かに傷も触手も、首の切り落とした部分までじわじわと再生している。 ドルナスが“同調”で抑えていなければ、首でさえもすぐにでも再生してしまうのか! 「何て再生能力だ!!」 キースは剣を振るい〈ヨルムの守護者〉の身体を切り刻んでいく。 だが、その巨体を剣だけで細かくするのは容易ではない。 「やっぱり魔法だな」 キースは風の魔法を放った。 かまいたちのような風の刃が何十本も発生して〈ヨルムの守護者〉の身体に傷を付けていく。 「これで終わりだ!!」 キースは、首を焼き尽くしたのと同じ強力な炎を〈ヨルムの守護者〉の身体に向かって放った。
/539ページ

最初のコメントを投稿しよう!

794人が本棚に入れています
本棚に追加