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〈ヨルムの守護者〉の身体を大きな炎が包み込み、激しく燃え上がった。
さすがに大きさ故にか、燃え尽きるまでには時間がかかりそうだ。
ドルナスがキースの元へ駆け付けてきた。
“同調”で疲れたのか、少し顔色が悪い。
「これで、ようやく…」
ドルナスは炎を見つめながら、感無量、といった様子でつぶやく。
「こんな生物を造るなんて、本当にヨルムの研究者達は何を考えていたんだろうな。
〈ヨルムの守護者〉も被害者だよ」
〈ヨルムの守護者〉の身体に入れられた時に聞いた、無理やり生きたまま合成された生物達の怨嗟の声が忘れられない。
キースは複雑な思いで炎を見つめる。
突然、炎が爆発的に燃え上がった。
「危ない!!」
キースは反射的にドルナスを庇う。
ドン、という音と同時に爆風が起きて、ドルナスを庇ったキースの背中を焼く。
「くっ!!」
キースは背中越しに、炎の中心から何かが出てくるのを見た。
それは2対の竜の翼を広げて宙に舞い上がる。
炎は爆風と共に消えていて、キースとドルナスは慌てて上を見上げた。
そこには傷1つない、〈ヨルムの守護者〉がいた。
ただ、大きさが小さい。
先程までは、上半身に似つかわしくない大きな下半身を持っていたが、今は上半身とバランスの取れた下半身の大きさになっている。
魔王の恋人の美しい女性の上半身と2対の腕、2対の竜の翼、竜の鱗と尾、鳥、肉食獣、竜の3対の脚はそのままで、触手は無くなっていた。
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