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風夜side 「風夜くん、準備はいい?」 俺と同じ銀色の髪を高い位置で纏めた男性。端正な顔立ちに黒いスーツ姿がよく似合っている。 その男性――俺の叔父でこの学園の経営者、弥生歳夜(やよいとしや)に頷き、俺は並んだ木製の長椅子に座った。 「大丈夫ですよ、歳夜叔父さん。もうあんなへまはしませんから」 生徒にバラしたといったときの取り乱し方はヤバかった。 もう絶対鬘と眼鏡は取らない……! 「いや、変そ……じゃなくて鬘と眼鏡はもういいんだ。さっきも言ったとおり、僕が風夜くんを襲いそ……じゃなくて、ここの生徒に襲われないためのものだから、風夜くんが気を付けてくれていればいいんだ」 叔父さん……。 「僕が言いたいのはそうじゃなくて、急に全校生徒の前で挨拶しろなんて。僕が言うのを忘れてたから……」 尚も心配そうな叔父さんに左右に首を振る。 「本当に大丈夫です。挨拶ぐらいできます。名前とちょっとメッセージ入れればいいんですよね。即興で考えてもう頭の中で纏めてありますから」
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