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まるでどこかの執事のように優雅な動きでティーカップを差し出す。
「どうも……」
淹れ立てのようでカップからは白い湯気がでていた。せっかく淹れてくれた手前断るのは気が引けるので、一口飲んだ。
まろやかなミルクティー、やわらかい口当たりで美味しい……けど熱い。
「あ、会長から聞いたのですが、緊張している時は手の平に“人”と三回書いて呑み込むといいそうですよ。是非一度試してみてください」
「は、はぁ……」
何だか拍子抜けする。まあ、あれされないだけましか……。
「ねーねー水月ちゃんだけ話していてズルいなぁ~~。俺らにも紹介してよ~~」
「………」コクコク
甘えるような猫なで声でそう言ったのは知らない顔の内の一人。
燈鳳指定のカッターシャツを着崩し、金髪をワックスで跳ねさせた如何にもチャラそうな男だ。
そしてそれに同意するように頷く大柄な男。赤茶色の長い前髪が片方の目を隠している。
体格が良いので一瞬警戒したが、外に出されたぼんやりとした右目を見て解いた。なんだか大型の犬みたいだ。
「“ちゃん”付けは辞めろと言ったはずですが?海原(かいばら)くん?」
黒いオーラを出す西華院に海原と呼ばれた男はあははと軽く笑う。
「まーまー細かいことは気にしないの。水月ちゃんも俺のこと、洋(よう)ってよんでよ。昔みたいにさ」
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