一日目

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8時になり家を出る 戸締まりを確認して車に乗り込みエンジンをかけ、 「うぅ…寒っ」 ヒーターを付けても温風になるまでには時間がかかる為、少し震えながらアクセルを踏み込む アパートの敷地から出ようと左右を確認する 「男の子…?」 進行方向のアパートを囲う塀には、もたれるように座り込む人影が目に入る こんな寒い日に何をしているんだろう、と疑問に思いながら右折する 気になりながら見つめていると フッと今まで伏せていた顔が上がり視線が合う 「っ…」 目が合ったお互いが吃驚したのか彼も私も一瞬目を見開いた 男の子は直ぐに柔らかな笑みを浮かべると、走り去る私を目で追っていた 20分程で会社に着き、冷えた手を温める為に自販機でレモネードを買って席に着く パソコンの電源を入れて、手を温めながら先程のことを思い浮かべる あの男の子は何だったんだろうか なぜ寒空の下に座り込んでいたのか 近所の子なのだろうか 顔を上げた一瞬の寂しそうな目は何だったのか 色々な疑問をもちつつ缶に口をつけると、甘さにほっとしつつもレモンの酸味に眉を寄せた
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