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『獅星駅~、獅星駅~』
目的地のアナウンスが聞こえ、電車を降りてからすぐに目を閉じて深呼吸をしたら懐かしい光景が思い出せる。
まぁ、幼い頃の記憶だから朧げな所もあるが……。
改札から出るさい、ふと目に入ったパンフレットを手に取り中身を見て驚いた。
「ふふっ、そっかぁ。 ここの名所は相変わらず変わってないんだ……」
十数年ぶりに戻って来たのに、あの時と同じ名所があるのが素直に嬉しかった。
なんせあの場所は年に一度っきりしか意味はなく、観光客の人数も疎らだったはずだから取り壊されているのか不安だった。
でもその場所はあった。
私にとってこの町で一番行きたい場所、一番思い出深い場所、一番楽しみな場所が。
駅から出て私は親に持たされた地図を頼りに引っ越し先を目指した。
道中あの頃のままの所、変わった所が目については立ち止まりを繰り返していたせいか、かなりの時間が経ってしまっていた。
そしてやっと家に着いた頃には夕方になっていた。
私は家に入ると、引っ越しあらかた引っ越し作業が終わっていたようなので明日が待ち遠しく、さっさとお風呂に入り、食事を済ませベッドに入った。
明日を楽しみにしすぎて寝れるか不安だったが、そんな心配はすぐに消えぐっすり寝れたようだ。
それは今、目覚ましが鳴るより早く起きてるのが証拠。
朝食をさっと済ませ、私以外誰も居ない家だが気分的に言いたくなり、いってきますの挨拶をして出た。
「たくに会えるかなぁ……。 お母さんが見せてくれた年賀状と同じ高校だしなぁ……同じクラスになれたら最高かな」
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