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赤く染まる、夕焼け空。
自分の髪のように真っ赤なその光景を見ながら、私はアカデミアの屋上で感傷に浸っていた。
今ではこんな綺麗な夕焼けが見えるこの街、ネオ童実野シティ。
しかし、つい数ヶ月前、この景色は永遠に奪われようとしていた。
この街の歴史を改ざんし、支配していた組織『イリアステル』。
そしてこの街を滅ぼそうとした存在、『ゾーン』。
私達はそれらの存在と対峙し、そして長き戦いの末・・・。
私達の想いの代弁者とも言える存在、月宮 知世-ツキミヤ トモヨ-はゾーンの野望を打ち砕き、私達は戦いに勝利した。
そんな事からもう数ヶ月経ち、この街にも再び平和が戻ってきた。
その後、この長い戦いを共に戦った『教団』のメンバーはそれぞれ新しい思いを胸に旅立っていった。
それは私、榊 夕香-サカキ ユウカ-も同じ。
特別な行き先も無かった私は、知世の誘いや兄・神楽 総一-カグラ ソウイチ-の勧めもあって、知世と同じ、コード4にある『第4アカデミア』への転入を決めた。
そしてそんな平和な生活が始まってからもう1週間が経った。
大抵の人がもうあんな恐怖の事も忘れ、本来の日々を楽しんでいる。
しかし私は、今でもこんな夕日を見る度に、未だにあの日の事を思い出してしまう。
何故今なお、あの頃の事を思い出してしまうかはわからない。
ただ私には、どうしても簡単にあの日々を忘れる事ができないのだ。
「なーに感傷に浸ってんのよ、夕香」
私が夕日に見とれていると、聞きなれた声が私の名を呼ぶ。
ハッと我に返って振り返ると、そこにはやはりというべきか、知世の姿があった。
「何だ、知世か」
私は感傷に浸っている間にほとんど沈んでしまった夕日に背を向けると、知世の方に向き直った。
知世はゆっくりとこちらへ近づいて来ると、私の隣で柵に身体を預ける。
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