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身体が小刻みに震える。恐怖のせいなのか、それとも体調不良のせいなのか自分でもわからない。ただ、僕の肩をしっかりと抱きかかえてくれている見知らぬ君のぬくもり、身体の柔らかさ、吐息の甘さがさらに僕の熱を上げた。
メインストリートに出ると君はすかさず三輪タクシーを拾う。不格好な今にも故障しそうな車体に、いかにも胡散臭そうな運転手。けれど君は気にする風でもなく、鮮やかな現地語を駆使して強気で運賃を交渉し始め、素早く成立させると僕を抱えてすぐさま乗り込んだ。
「もう大丈夫。怖かったでしょ? 安心して。仲間はいないようだし、あの男もあの様子じゃ追い掛けてこないと思うわ」
心配そうな黒い瞳が僕を覗きこむ。
「年はいくつ?」
「十七」
「観光客? ご家族とはぐれたの?」
君の問いに黙って頷く。
「夜のバザールはただでさえ危険なのに、ひとりであんな裏通りをフラフラしていたらいけないわ。特にあなたみたいな綺麗な子は」
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