平穏…のち召喚

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「求めよ、さらば救われん……か」 パタン… 俺は今まで読んでいた本を閉じて、無意識のうちに止めていた息を吐いた。 「いったい何を求めればいいんだろ…」 もし、何かを求めて救われるなら、これ以上楽な人生はないだろう。 だって、自分ではなにもしていないのだから。 「もし、そうだったらいいのにな」 こんな期待はするだけ無駄だ、なんてことは分かっている。 それでも願わずにはいられない。 「人間なんて、大ッッッッ嫌いだ」 俺の口から漏れ出た呟きは、誰に聞かれることもなく、開きっぱなしの教室の窓から青空の彼方に消えていった… はずだった。
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