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「あんた、なんで昔、死にかけたの?」
唐突に訊いた。
「えっ?えーっと、自転車に乗ってたら車にぶつかったみたい」
「みたい?」
「小さいときのことだし。事故にあったときの記憶がないから」
「ああ。そうか……。悪い。変なこと訊いた」
そう言って、席を立とうとすると、「樹くんは、事故のこと覚えてるの?」と訊いた。
「……俺も記憶ないよ。そのときのことは」
そう言うと、宇野は「一緒だね」と微笑んだ。
つられて笑いそうになった。
だって、こんなことで少し安心したんだ、俺。
宇野に親近感でも抱いてしまったのだろうか。
でも。やっぱり、一緒じゃねーよなって
。
次の5時間目の授業、一番前の席で爆睡して怒られてる宇野を見て思った。
馬鹿か、あいつはって。
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