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そう。待っていたんだ、ずっと。
あの日から。
ドキドキと胸が高鳴る。
どうしよう、この人も気付いているのかな。
聞こえるかな。
というより、あたしのこと、この人も知ってたりするのかな。
「誰?」と言うような目であたしを見つめるその彼。
朝だからか、少し眠そうな顔をしている。
その表情で口にしなくてもわかった。きっとこの人はあたしを見たことがないんだろう。
だけどあたしは。その目に、何かが奪われたのかもしれない。
なんだろう、この気持ち。今まで感じたことのない心臓の動き。
身体の内側から不思議な感覚があたしを襲う。
こういうことなんだ。
「やっと、会えたね」とあたしはそこでそう言うと、眉間にしわを寄せて怪訝そうな顔をしてみせた。
やっと、会えましたね、運命の人。
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