1こ

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「颯太、颯太聞いて」と駆け寄ると、「ん?」と言ってあたしを見下ろす。 颯太は幼いときはすごい小さかった。 背の順は大体、1番か2番をキープしていて、いつも、小さなあたしの隣で前へならえをしていた。 腰に2人で手を当てて、1番前の証し。 だけど、中学校2年生から急激に身長が伸びた。 今じゃ175センチ近くはあるのかな。 どっちにしろ、149センチのあたしが彼を見下ろすことはないんだろうけど。 「運命の人、出会っちゃたよ」 かがんだ颯太に、そう耳打ちして伝えると、目を丸くして驚いた。 「運命の人って。あれか?ばあちゃんの写真の?」 うんうんと何度も頷く、あたし。 「まじかよ……」と小さく呟いた後、何かを言いたそうにした。 だけど、それは聞けなかったんだ。
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