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私は桜愛。
四葉芸術女子学園高等部の剣道部に所属している、普通の女の子です。
「愛、早く帰ろう!」
この子は私の友達空野音。
音は弓道部に所属しているんだけど、まだ2年生なのに3年生並みの実力を持っているらしくて、この学校では、ちょっとした有名人みたい。
「待って!大和先生にプリント提出しないと!」
私は音にそう言ってから、大和先生を探しに行くために教室を出た。
「あ、大和先生!」
廊下に出ると、すぐ目の前に大和先生がいた。
「桜さん、ちょうどよかった。伝えたいことがあったんです。」
「もしかして宿題のことですか・・?」
大和先生の担当教科は数学なんだけど、私は数学が苦手だからよく宿題を貯めちゃって、大和先生を困らせているんだよね・・・
「いえ、その話は今日はしません。」
今日はって事は、明日くらいに宿題の事で呼び出されるかも・・・
「で、結局何の話なんですか?」
「実は、先ほど他校の男子生徒があなたを訪ねて来たんです。
とりあえず校門で待たせているんですが、心当たりはありませんか?」
男子生徒・・私の知り合いに男の子なんていないはずなんだけど・・
一応名前を聞いてみよう。
「あの、その人の名前って分かりますか?」
「たしか恋と名乗っていましたよ」
「恋って、もしかして!!」
私はその名前を聞いていてもたってもいられなくなり、校門へと走り出していた。
「桜さん!?」
「愛、どこいくの!?」
「恋が私に会いに来てくれたかもしれないの!」
恋・・・
それは、私の双子のお兄ちゃんの名前。
私が6歳の頃に両親が離婚して、その時に恋はお父さんと一緒にアメリカに行っちゃったんだけど・・・
もしかしたら帰国して、私に会いに来てくれたのかも!
必死に階段を駆け降りて、校門を見ると、そこには懐かしい雰囲気のする少年が立っていた。
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