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さめさめと降る、薄いカーテンのような小雨が閑散とした路地のレンガを濡らして消えてゆく。
中心街の活気に満ちた喧騒が湿った布を被せたかのようなこもった響きで、しかし雨音にかき消されることなく街の断崖であるこの地まで届けられていた。
赤茶けたレンガの並ぶ街路から視線を右に逸らすと、すぐに広大な森林が現れる。まるで外界から切り取ってそこに置いたようなそれは、激しく絡み合う柵格子の隙間から手を伸ばしている。
蒼くふいた格子は頼りげなく押し出され傾き、絡むツタの葉や雑草どもが柵を破り爆発して飛び散りそうだった。
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