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この異常事態に、審査員からなにも指示も無いところをみると、外ではこの光景と別の映像が映し出されているか、中の状況を知りつつ、タイリが生徒を全滅させることを待っているようにしか思えなかった。
しかし 結界が解けたところで、タイリは生徒を殺し掛けたことになる。それをネタに、この状況を作り上げた人間はタイリをアカデミーから追放する気なのだろう。
敵の正体を学園の臨時講師のセシアだと正体を知るにも関わらず、置かれた状況が厳しい。
結界を破る手段はあるが、生徒を巻き添えにしてまでやることでは無かった。無論、試験に入る前に、手は打っていたが援護の兆候は見えない。
(きまぐれ。まだか──?)
胸中で祈り、そのあだ名を呼んだ。
きまぐれは、タイリの教え子のひとりだったが、半年前、博士としての人生を選択しこの学園を去った少女であった。
名前をルイという。ラッドサンド大陸二大勢力である政府と神官の間に於いて、有名な存在だった。
そのルイとタイリは奇妙な縁で結ばれており、事件があれば何かと行動を共にするようになっていた。
試験が始まる数日前に、異変を感じたタイリが、旅行に出掛けようとしていたルイを捕まえ自分殺しの陰謀を調査させたのだ。
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