一章 講師

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 事態が悪化する前に話をしておくべきだったと内心で反省するタィリの気も知らす、一向に少女は姿を現さない。それどころか、二人の生徒がタイリを板挟みにしよとしていた。  二人の気配に気付いたタイリは、その場から木々の奥へと逃げた。  タイリは、生徒達に状況を説明しょうと考えたがいい方法は浮かばなかった。  試験会場であるこの森は、元々、種師育成学校の私有地であり、種師コースの人間が、毎年この場で試験を受けることになっている。  そのため、森の磁気に細工が施してあり正確な方位や感覚を惑わしている。  種師にとって、感覚を保ことは絶対であり、これを自己操作できなければ基準を満たしていないと判断され、そのまま種師の夢を絶つか、編入生として再度学科を学ぶことを義務付けられている。そのため、生徒も必死だ。バッジを狙い、手段を選ばなくなっている。
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