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(なにしてるの・・柊介…)
大事そうに手をつかむ柊介に沙良は言いようのない不安を覚えた。
時折、クチュ…と音が聞こえる。
しばらくして指から手を離した柊介はそのまま沙良の背に腕を回し押し倒した。
「柊介…?」
視線があった柊介の目は緋色で口からは牙がはみ出ていた。
荒い呼吸を繰り返しながら必死で抵抗しているようにも見えた。
まるで、沙良を傷つけないようにするみたいに。
「…柊ちゃん」
泣いてるようにも見えた柊介の頬にそっと触れる。その手にビクッと反応して沙良から離れる。
「…さら…ゴメン…」
起き上がった沙良は呆然と柊介を見つめる。沙良の中に芽生えた確信、それは…
「柊ちゃんは…吸血鬼…なの?」
「いろいろ言いたいのはわかってるけど…今は一人にして?」
それは柊介からでた拒絶の言葉だった。
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