2章

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(あ・・ウサギ忘れた…。) さっきの混乱で柊介からもらったプレゼントを置き忘れていた。 (だけど戻るのもな・・) 苦しそうな表情の柊介が頭から離れない。 ふと、コップで切った指を見る。傷口はきれいに塞がっていた。 (柊ちゃんが舐めたのは…) 指から出ていた血だったのだ。吸血鬼には治癒力もあるらしい。 「あんなに切れてたのに、塞がるなんておかしいからね…。」 半ば自嘲気味に笑う。絆創膏をくれたらよかったのに・・と思った。 (治したのは、柊ちゃんの優しさか・・?) 『さら…ゴメン…』 あの時の柊介の悲しそうな顔が沙良の中から消えなかった。
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