1章

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ガラッ 「高梨ー帰るぞ。」 「え、本城!?今行くから待って!」 隣のクラスの本城 柊介(ほんじょう しゅうすけ)が迎えに来た。 背が高く女子顔負けの整った顔をしている彼は沙良の幼なじみだ。 「え!?本城くん??」 千鶴がびっくりしたように沙良と柊介を交互に見つめる。 「お互い24日が誕生日で、家も近いから祝いあってるの。普段避けてるくせにこういう時だけ律儀なんだから…」 苦笑しながら教科書を入れていく沙良は遠い目をして呟いた。 「…向こうに彼女が出来たらきっとそっちを優先するんだろうけどね。」 「それは…沙良にも言えるでしょ?彼氏が出来たら…」 千鶴のその言葉に沙良は泣き笑いの顔をして答えた。 「あたしの恋は…叶わないから…」 千鶴にはその意味が伝わったが確認せずにいられなかった。 「それって…本城くんのこと…」 「…好きだよ。でもね、あたしの片想いだから。」 (だって柊介が振り向いてくれることはないから…) 「千鶴、内緒だよ?」 口に人差し指を当てて千鶴に秘密にしてもらうように伝えるのだった。
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