9人が本棚に入れています
本棚に追加
/85ページ
「俺…誰も好きにならないと思うよ。」
柊介の発言にびっくりしてマフラーから顔を上げた。
「なんでよ??」
「本当の俺を知って好きになるやつはいない。」
言い切ったその言葉は沙良の心にズシンときた。
「いつか現れるかもしれないじゃない。」
「それは幻想だな。いてもそいつが不幸になるだけだ。」
柊介の表情は見たこともないぐらい冷たい表情をしていた。
「…なんかあった?」
沙良の口からでたのはその一言だけ。
柊介は突拍子もない発言に目を見張った後、沙良の頭をくしゃくしゃに撫でた。
「なにもないよ、気にするな。」
次に見たのはいつもの人懐っこい笑顔だった。
「それに、高梨とは幼なじみだから。」
(…好きって言ったら壊れちゃう。)
柊介の気持ちを聞いて沙良は想いをしまうことに決めたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!