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「…柊介とあと何回誕生日過ごせるかな。」
ぬいぐるみを抱きしめたまま沙良がぽつりとつぶやいた。
「さら・・?」
「いつか、お互いに大切な人ができたら過ごせなくなっちゃうから…。」
「沙良…俺は・・」
何か言いかけた柊介をかわして大声を上げた。
「ごめんね!こんな話して。」
無理やり話を終わらせた沙良はコップを手に取りジュースを入れかけた。
「沙良!人の話を聞け!」
その態度にイラッとした柊介は勢い余ってコップを持った手をつかんだ。
「ちょ・・柊介!」
あわてた沙良がコップから手を放した瞬間、ガシャンと音がしてコップが割れてしまった。
「もー…割れたじゃない・・。」
「ごめん・・」
冷静になった柊介が謝ると沙良も苦笑して謝った。
「こっちも大人げなかったから…ごめんね。破片拾わなきゃ。」
一枚一枚丁寧に集め拾い上げていたその時、
「イタッ・・」
沙良が指を切ってしまった。
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