#02 事件

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だからこそというわけではないのだが事情を知っている和成には職場(お屋敷)の愚痴をこぼすこともあり、その度に和成は「頑張れ」と励ましてくれていた。 今回も和成はきっと愚痴だと思っているのだろう… ただ事がことなだけにいくら和成でも妬きもちを妬いてくれるのだろうか。 少しでもいいから妬いてほしい。 怒った顔を見せてほしい。 そんなことを考えながら私は言葉を続けた。 『なんかあった…って言うよりは、あったんだけど愚痴じゃないっていうか。とりあえずメッセージ見てもらった方が早いかな。』 そう言いながら私は先程開いたばかりの黒兎さんからのメッセージを開く。 『信号赤で止まったら見せて!!』 和成は運転中で前を見ながら答える。 『うん…』 私はあくまで困っているんですという雰囲気を醸し出しながら頷く。 これで和成が怒ってくれたら妬きもちを妬くなら和成のためにも黒兎さんとの連絡を絶とう。 そう決めていた。 何故ならば和成は怒ったり妬いたりしたことがない。 それはずっと優しいからと思っていた。 でもここ最近の私はそれがずっと気掛かりだったのだ。 和成はほんとに私のことを本気で大切に思ってくれてるのか。 とりあえず付き合えたからで野放しにされてるんじゃないのか。 ヤレたらいいそんなんじゃないのか。 考え出したらきりがなくなっていた。 だからこそ和成がどんな反応を示すのかが不安でもあり気にもなっていた。 そんなことをぐるぐると考えながら私は信号が赤になるのを待った。 そして信号が赤になり、車が停車する。 和成に私は携帯を渡した。 画面に目を通す和成。 読んでる間の沈黙が妙に重たく感じる。 そして数秒の間をへて、和成はようやく口を開いた。
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