#02 事件

8/10
前へ
/20ページ
次へ
H25 7月25日。 今日は夢との相変わらずのお給仕。 私と夢は一緒にコンビを組んで仕事をすることが多い。 シフトは自分達で決めているわけではないので理由までは分からないが、だからこそ仕事はとてもやりやすかった。 なのでそんなこともあるためか私自身はとても安心しており、今日1日もきっと何事もなく営業していくものだとおもっていた。 ―カランコロン~♪ 『お帰りなさいませ。お嬢様』 今日のお嬢様(御客様)はのんちゃんお嬢様。 最近このお屋敷(お店)の常連のお嬢様(御客様)になってきた人だ。 性別的には男性なのだが、心は女の子であり女装をされている。 所謂(男の娘)。 この手のお嬢様(御客様)はこれまた別に珍しいことではない。 私自身趣味としてコスチュームプレイ(コスプレ)を行っていくなかで男の人が女の子のキャラクターをコスプレしている人を何十人と見てきたこともあるためか偏見などは全くなかった。 『のんちゃん、今日のウィッグはピンクなんだね!!前回は紫色だったけど紫色のはどうしたの!?』 『えっとね、紫色のもあるんだけどピンクも似合うなって思って今日はピンクにしたんだ!!あんちゃんはどっちの色が好き?』 『うーん。前の紫色のはインパクトあるなって思ってたけどこっちのピンクはピンクで可愛いね。ハイ、お席どうぞ。』 私はのんちゃんと上手く世間話をしながら席へと誘導していく。 実の所、男の娘には偏見のない私なのだがのんちゃんはかなり苦手だった。 普通に話しているときは会話が食い違ったり、話ができない訳ではないので問題はないのだが、のんちゃんの問題はそこではない。 のんちゃん自身の考え方、性格。 そこに問題はあった。 1つ目、自分が神であり正しいと思い込んでおり自分の言っていること、自分の考えている通りにならないと気がすまない。 2つ目、典型的なかまってちゃんであり他の御主人様(御客様)方とばかりメイドさんが話しているのを嫌う。 3つ目、自分の容姿にはかなりの自信を持っており自分のブロマイドを作ってサインしてはメイドさん達に渡す。 正直2つ目、3つ目は他の御主人様(御客様)の中にも同じような方たちを見ているので許容範囲としても1つ目の自分を神だとおもってしまうその考え方にはどうしてもついていけず、のんちゃんとは距離をとるようになっていた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加