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『あんも…ってことは他にも誰か私とおんなじ夢の人がいるの!?』
黒兎さんは1度びっくりしたように目を見開いたが、すぐに納得したような表情を浮かべた。
『あぁ。あんちゃんには初めて話すかな。俺のことだよ。嫌、詳しく言うならば目指して「た」かな。俺も昔声優になりたくて専門学校に通ってたんだよ。』
『え!!!!!ちょっと初耳だよ!!黒兎さんがまさか声優目指してたなんてね。』
『俺も兄貴の影響でアニメとか漫画とか好きでさ。』
私は思わぬ所に黒兎さんとの共通点を見つけてテンションが上がっていた。
本来ならメイドさんというお仕事上、1人の御主人様(御客様)とずっとお話するのはあまり良いことではない。
色々な人とお話をして誰1人つまらないと感じさせないようにしなくてはいけない。
ただ今日は運が良いことに御主人様(御客様)は黒兎さんとバードさんしかいない。
その上、夢とバードさんは話が合うのかお絵かきが終わったあとも楽しそうに笑いながらお話をしていた。
その様子を横目でちらりと見ながら私は今の状況に軽く心のなかでガッツポーズをしながらも黒兎さんとの会話を楽しむことにした。
『そうだったんだ!!黒兎さんは何処の専門学校行ってたの?』
『えっと、俺は○×専門学校。まぁ、っていってももう10年位前の話になっちゃうんだけどね!!俺今年で29だからさ。もう来年は三十路ですわ。』
黒兎さんは軽くため息混じりに呟いた。
『あーその専門学校ならあんも知ってるよ!!体験入学とか行ったからね。…ってえぇー!29とか。嘘だよね!!』
私は黒兎さんから自然に出たカミングアウトに声が裏返った。
『そんなに驚く?俺いくつくらいに見えてたの!?』
『23!!!!!!』
私は肌も綺麗に整い、髪型などの身なりにも気が配られている黒兎さんをリアルにその年だと思い込んでおり、即答した。
『ははっ。そこまで即答されるなんてね!!例えお世辞でも嬉しいよ。ありがとうね!!』
黒兎さんは笑いながらもお礼を口にした。
『お世辞とかじゃないけどね!!でも黒兎さん、専門学校卒業後は一体どうしたの!?今の会社に就職?』
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