1人が本棚に入れています
本棚に追加
西の空には夕焼けに染まり、雪で覆われた銀世界を幻想的に照らします。
ここは世界のどこかにあるサンタズ・ブートキャンプ。
世界中の子ども達にプレゼントを配るサンタ達が、日夜訓練に励む場所です。
今日はクリスマス・イヴ。サンタ達はいそいそとソリの準備をしています。
その中で1人だけ、準備にもたついている若い男性がいます。新米サンタです。
「緊張してるわね」
そう言ったのは赤い鼻をしたトナカイ。サンタクロースはトナカイと会話する事が出来るのです。
「すみませんルドルフさん。緊張と寒いのとで手が上手く動かなくて……」
「まあ、最初はそんなもんよ」
ルドルフと呼ばれたトナカイはほうっ、と白い息を吐きました。
ルドルフとは世界で1番有名な赤鼻のトナカイの名前です。現在では優れたトナカイに送られる、いわば称号となっています。
新米サンタとペアを組むトナカイの本名はエリザベート212号というのですが、彼女は誉れ高き「ルドルフ」という名前で呼ばれることを好み、新米サンタも尊敬の念を込めてルドルフと呼ぶことにしています。
「なんにせよ、早く準備しなさいな。プレゼント配りは速さが大事だからね」
そう言われても寒いのはどうしようもありません。新米サンタはかじかんだ手で手綱をつけていきます。
最初のコメントを投稿しよう!