羊と悪魔とハチミツ

羊男

本屋の店主もとい、羊男の名前は、「ラミン」といった。

彼の両親は紅茶が大好きで、勢いで彼にも紅茶の名前を付けてしまったのだ。

羊男と表記するのも本当は間違っている。

彼の種族は「羊魔(ようま)」といって、簡単に言うと悪魔と羊が交わったものが進化してできた種族だ。

だからもちろん彼には蝙蝠のような羽が生えているし、羊の角も生えている。

もっとも、いつもは面倒だからと、悪魔が好むようなヒトの姿をとっているのだが。

そして最大の特徴は、あくびや咳、ため息をつくと、大きな毛玉が口から出てくることだ。

これは結構苦しいらしい。

だから、大体の羊魔はなるべくため息はつかないような、明るい性格をしている。

そこからもわかるように、このラミンという羊魔は特異な存在だともいえた。

面倒事が嫌いで、人の頼み事はたいてい面倒くさがって引き受けない。

気が付けば隅っこの方で、本を読んでいるような奴だ。

もっとも、それは彼の過去にも関係があることなのだが…。