プロローグ

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 青色の軍服を身に纏った人間四人がふたりふたりに分かれ、長い卓を挟んで座っていた。窓には遮光幕が掛かり、卓の真上の天井の白い照明のみが光源として機能しており、室内がどれだけの広さであるのかもわからない。照らしているのは卓の中心と四人の頭、四人が着ている服の肩に飾られた階級章。そして、卓の上に広げられた一枚の資料。  資料の最初に書かれている言葉は『Fの現況』。  ひとりが笑みを浮かべ、議題について発言する。 「領土拡大へのチャンス、逃すわけにはいかん」  資料に書かれた『内戦により、国内最大の兵力、近衛兵は壊滅、皇都を守護する聖守護騎士団も一割減じ、Fは本国と隣接する国境の兵を三割皇都へ異動させた』という文が他三名の笑みを誘う。  口を開いた人物は告げる。 「我々の未来のために、くれぐれも悟られぬようにな」
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