25人が本棚に入れています
本棚に追加
/198ページ
とりあえず起き上がって、もう一度、おはよう、と言った。
欠伸をする彼女に、アリスと呼ばれた金髪の少女は、へにゃり、と頬を緩ませた。
実は何十年と生きている吸血鬼の彼女にとっては、16歳かそこらの少女が欠伸混じりに挨拶をする事など、可愛らしいものとしか映らないのである。
「ローズ様ぁ。今日はウィル様とお出掛けするんでしょう?目一杯、お洒落しましょうねー!」
「いや、別にそんなに気合い入れなくても…」
「いいんですぅ。ウィル様も、ローズ様がお洒落した方が喜ぶですよー、きっと」
「そうかしら?」
ローズ様、と呼ばれる少女は寝癖のついた髪に手櫛を入れながら、小首を傾げた。
蜂蜜の様な、甘い黄金色の瞳を、彼女は何度も瞬かせた。
最初のコメントを投稿しよう!