サンタは居た

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「ふんっ! いい気なもんだっ。何がイブだ! 何がサンタクロースだっ」 「んっ? どうした? なんだか荒れてるな」 「そりゃあイブに、かこつけて恋人とホテルで過ごせば楽しいだろうさ。だけどな。クリスマスってのは、もともとキリストの誕生日を祝う行事だろう。欧米じゃ、この日こそ家族が顔を揃えるって聞いたぞ」 「うむ。そうらしいね」 「だろ? それがどうだ! 日本じゃ、この日に照準を合わせて何やってんだ! バチ当たりな」 「ははは……確かに。だけど、もともとキリスト教の信仰者じゃないんだから、バチは当たらんさ。あっ、おねえさーん、ビールとシシャモの追加をお願いしまーす」 「はーい」 「だからーっ。信仰心もないのに、何でメリークリスマスって叫んだり、この日を特別扱いにするのか、その神経が解らんって言ってるんだ」 「まあまあ……いいじゃないか。そういう文化なんだから。どんな行事でも都合のいいように、日本流に柔軟に解釈してお祭りに変質させるんだ」 「お祭り? 変質?」 「うん。つまりはイベント商法だよ。目くじら立てずに、イベントに乗っかって楽しめばいいんだ。経済効果もある」
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