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「なるほど。だけど、それは勝者の論理だろう。3割の勝者の陰で、7割の敗者がカップルに成れずに泣いてるんだ」
「勝者？ ホテルで過ごす相手を見つけたから勝者？ ははは……なんだそりゃ」
「だって、さっき、そう言ったろ？ イベントに乗っかって楽しめばいいって」
「ははは……眼を血走らせてホテルにシケこむだけが楽しみじゃないさ。俺はゴメンだな。それしかないって感じで。まあ、自由だけど。その日にホテルへ行かなくたって敗者だなんて思わないよ」
「思わないのか？」
「ああ、ぜーんぜん思わないね。行くんなら俺の都合で行く。イブに振り回されずに行きたい時に行く。その日は千葉でジャズとクラシックのジョイントコンサートがあるんだ。これには誰にも気を使わずに一人で行きたい」
「ふーん。そうなのか。なるほど。振り回されずにイベントを楽しむってのは、そういうことか」
「映画だって、一人で観たい時は一人で行く。それで何か問題があるかい？」
「いや……無いね。その通りだ。俺の思い込みだった」
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