143人が本棚に入れています
本棚に追加
「やっぱ俺が下手なんかな…」
はああぁ、とさっきから盛大に溜め息をついている俺を皆が好奇の目で見てくる。
その視線を無視して隣の奴に話しかけた。
「お前彼女持ちだろ?最近はドウデスカ。心身共に健康デスカはいはいヨカッタネー」
「なんだ今日のお前の絡みだるっ!お前がそんな溜め息ばっか吐いてんのが珍しすぎて皆びっくりだよバカ」
そんなとこ、絶対慎に見せんなよ
耳打ちしてくる隣の奴は俺と慎のことを話してる数少ない人だ。
俺は慎と付き合ってるってことを皆に見せびらかしたいけど、そんなことをしても慎は喜ばないから
信用できる奴にだけ話す
それに学年が上がってから慎とはクラス離れちゃったから見られることはないんだって、自分で語っててまたヘコんだ。
「最近慎がさ全然イカねぇんだよ」
「へぇ?」
「何時間もずっとしてるのに、イクのは最後に一回くらい」
それも雀の涙ほどの量
「こんなことを聞くのはちょっとアレだが、慎は前はよく達してたのか?」
「そりゃあまぁ…結構?量も多かったし」
何度も恥ずかしそうに射精する、慎の姿を想像しただけで自身が疼く。
その顔がそう何回も見られないってことは
「俺が下手になったか、慎が馴れたか」
とにかく前より慎が快感を感じてないはずなんだよ
自分だけ気持ちいいのってひとりよがりじゃん
…それってなんか寂しいじゃん
そう思うと無意識に溜め息が出た。
「だったらやり方を変えてみたらいいじゃん。体勢とか玩具とか」
方法はいくらだってあるだろ?
「少し期間を空けたら向こうから求めてくるかもしれないし」
「!!」
その言葉にバッと相手を見る。
「そうか!」
今、お前の身体から後光が差して見えるわ
冬の弱い光を受けて窓際のそいつの背中から光が出ているように見えるのはほんとだけど
最初のコメントを投稿しよう!