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途端に溜め息をどこかへかなぐり捨てる俺にそいつはおかしそうに笑った。
「なんだよ」
「いや?お前をそんな落ち込ませる慎もすげえって思うけど、発想の転換でそんなにも元気を取り戻すお前にもびっくりだよ」
その方がお前らしいじゃん
弱い光が目にやさしかった。
HRが簡単に終わると教室から駆け出した。
真っ先に図書室に向かう。
ーガラッ
扉を開くと俺のクラスより早くHRが終わったらしい慎がそこにはいて。
息を切らして入ってくる俺に慎は少し驚いてるようだった。
「凌央?汗だくだよどうしたの?」
幸い図書室に人影はなく、人目を気にせず慎の手を取った。
「俺!禁欲するから!!慎がしたくなったらキスしてきて」
チュッ
「!?」
ぼんっと顔を真っ赤に染める慎は達するときに見せる表情とどことなく似ている。
この顔を何回だって見ていたい
そのためだったらどれくらいだって我慢してやるよ
その顔を焼きつけるように慎と対峙した。
そして、1ヶ月くらいの月日が経った図書室の、慎が当番を受け持っていたある日
人のいない室内で慎と帰るために適当に本を選んで読んでいると
「凌央っ…!」
いつもより上ずったような声が耳に届く。
「今日、早帰りで図書室早く閉める日だから帰ろうっ!」
「おけ」
どこか照れたようにしてる慎にくるって、ほんと俺の身体頑張ってんだなー
肉体だけの関係ってわけじゃないけど、会うとどうしても慎がかわいくて触れたくて
1ヶ月もしないのなんて、付き合いたての頃に戻ったみたいだ。
それも最近は悪くないな、なんて気持ちの折り合いをつけながらのんびりと並んで歩く。
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