143人が本棚に入れています
本棚に追加
恥ずかしそうに眉間に皺をよせる真っ赤な顔
目尻から涙なんかも零しちゃって
そうそう、俺はこれが見たかった
気持ち良さそう、なんて見かけじゃなくて
気持ち良い、の
快感に溺れる慎の顔
これで、俺の胸が痛むことなんてもう
「っ……ふ…っ…ぅ…」
喘ぎ声に混じって嗚咽混じりの声が聞こえる。
「…慎?」
「…ん、ふぇ…ぁ…あ…」
両腕が慎の顔を覆った。
「…イキた、く…なかった、のに…」
ズシン
「…え?」
なにそれ
もう、頭の中には楽天的な言葉なんか浮かんでこない
拒絶
その2文字しか
俺にイカされたくないって
「凌央が、気持ちければ…それでいいのに…っ…」
俺だけ気持ちよくて、俺が早く慎に飽きちゃえばいいって?
言葉にならない部分を補うとしたらこういうこと?
ーガッ
「俺はっ…!!」
「!!」
慎の瞳を隠す華奢な腕をひっぺ返した。
「自分だけが気持ち良いのなんか嫌だ!!
それで満足する奴もいるかもしれない
もしかしたら自分で気づいてないだけで、絶交覚悟で最初に慎を襲ったときは自分がそういう奴だったのかもしれない」
けど!!
慎の顔を見つめる自分の顔がすごく熱い。
「俺だけじゃ悲しい寂しいって思うくらいには
禁欲の間に深くいとおしく思うくらいには
俺は慎のことが大好きなんだよ!!」
だから
そんな悲しいこと言わないでくれよ
こんなに怒鳴ったらますます嫌われたって仕方がねぇな
次こそほんとに絶交かも
廊下ですれ違っても、図書室で慎のこと見てても笑いかけてくんないかもしれない
そんな言い訳を頭では考えていても顔を上げるのは怖くて。
なんで最後に顔を落としちゃったんだって上げざるを得ない展開にしてしまった自分が憎い。
最初のコメントを投稿しよう!